太田古墳群現地説明会




奈良県葛城市、南名阪道路葛城インター南の「道の駅かつらぎ」建設予定地内で発掘調査中の、
太田古墳群の現地説明会に行ってきました。



今回はあまり大々的にマスコミに取り上げられなかったせいか、これまでの現地説明会に比べると人出は
少なめでした。


開始直後の10時半頃に到着したのだが、第一回目の説明会が行われておったので、二回目の説明会
まで他の遺跡を見学することにしようかの。



ちなみにこの古墳は一番北に位置する4号墳。
直径(南北径)23mの円墳じゃ。


今回の遺跡は大まかに3ブロックに別れてました。



これは一番南の高台にある1号墳周辺ですね。
右奥に1号墳の横穴式石室、周辺に3基の小石室が分布してます。
上の画像をクリックすると、1号墳周辺のムービーが見られます。


これが1号墳の横穴式石室。
側壁、奥壁が残る唯一の石室じゃ。南西に開口していて、石室全長は8.1m。
6世紀前半の築造と、この古墳群では最古の古墳だそうな。





開口部側から。
石室形状は両袖式、玄室の床面には敷石が敷きつめられとるのか一目瞭然。
この1号墳、7世紀中葉まで床面を作り変えながら2〜3回の追葬が行われていたようじゃ。


周辺の小石室も見どころですね。
中央が小石室01、左奥が小石室02、右奥に陰になってますが小石室03があります。




上から小石室01・02・03号じゃ。
どれも幅1m弱、長さ2m前後のサイズ。








次は1号墳の北、一段低い場所にある2号墳。
中央が2号墳の横穴式石室、他に小石室1基があります。



・・・確か、この2号墳の横穴式石室が変わってるという評判でしたね。


そうそう、この現説の目玉商品の一つがこの2号墳じゃ。
これはサイドから、向かって左(東)に開口しとる。。






これは奥壁側から。
実はこの手前の狭い石室、玄室じゃなくてその奥に設けられた奥室なのじゃ!
奥の広い部屋が玄室で、その向うが開口部だそうな。

・・・こ、こんな変わった形式の横穴式石室、初めて見ました!

これは玄室から開口部。 羨道から玄室が一段下がっとるの。






奥壁が狭いので、副葬品の置き場かな・・・?
説明では横穴式石室築造の試行錯誤による試作品?のような石室らしい。
石室全長は4m、6世紀中葉ごろの築造らしいが、その頃には横穴式石室ってかなり普及していた
ような気がするのじゃが・・・

同様の石室として、明日香村の真弓鑵子塚古墳の横穴式石室が挙げられてましたが、あちらの石室は
封鎖されてますしねぇ・・・

ま、これはぜひ現状で見学できるよう保存していただきたい逸品なのじゃが、それはどうも難しそうじゃ・・・



これは2号墳の南、土手際にある小石室。
上の画像をクリックすると、2号墳周辺のムービーがご覧いただけます。


2号墳の北にはテントが設営されていて、今回の発掘調査で出土した副葬品が展示されてました。






まず一番上は4号墳の石棺から見つかった数少ない出土品。
盗掘に遭っておったが、奇跡的に見逃されていたらしい。




次は耳環。




あとは土器類が少々。
やはり盗掘が酷かったようじゃな・・・





そうこうしてるうちに、二回目の説明会(11時)が始まりますよ。

下の画像をクリックすると、説明全文が見られます。
20分ほどの長さじゃが、なかなか内容が濃くて必見じゃ!



それでは、4号墳の説明をお願いします。

これがメイン物件の4号墳。
周囲に幅4mの周溝を持ち、南に横穴式石室が開口しておる。
6世紀後半と、この遺跡では一番新しい古墳になるかの。
下の写真をクリックすると、4号墳周辺のムービーが見られます。




ここが石室部分。
ほとんど石材が抜き取られておるが、全長14m以上の長大な横穴式石室じゃ。
石材の抜き取られた跡がボコボコ残ってるのが分かるかな?





玄室に残っていた凝灰岩製の組合式家形石棺。
上の写真は北(奥壁)側、下の写真は東側から。







ちなみに、蓋石は敷地の端に置かれておった。
盗掘に遭ったときに割られたらしいが、縄駆突起も残っておる。






墳丘の方も珍しい遺構が残ってるそうですね。

うむ、墳丘裾には外護列石が巡っておる。




これが墳丘北端に残る列石。
ここまでが墳丘じゃな。




これだけなら他の古墳でも見られるが、注目すべきはこの遺構!



周溝外側の外提の内面にもビッシリ石垣状に列石が貼られておる!
これはこの古墳で初めて見たわ・・・
被葬者の氏族は不明じゃが、近隣の平林古墳の被葬者を支えた有力者の墓ではとの説明じゃ。

うわ〜〜〜、凄いですねぇ〜〜〜・・・
・・・あれ? そういえば3号墳ってどこにあるんですか?



実は4号墳の西、広い空間に3号墳があるのじゃが・・・
あ、下の写真の左側の小石室は違うぞ! 写真右上が3号墳じゃ。




アップで3号墳撮影。
石室の石材がほとんど抜き取られておったが、石室残存長5.7mの横穴式石室。
凝灰岩製の組合式家形石棺があったそうじゃ。6世紀後半の築造。




ついでに小石室もアップで。




すぐ側には、周辺の古墳の石室や石棺が古墳公園として整備されてるので、いつでも見学できますね。















以上、はなはだ簡単ながら、太田古墳群のレポートをお送りしました。
それと、説明会で嬉しい発表があったのじゃが、この太田古墳群は埋め戻しながら現地保存される
ことが決定したそうじゃ!。

おおお、凄い快挙じゃないですか!
てっきりこの後、破壊されるものだと思ってました・・・

ま、石室や石棺が見学できれば言うことなかったのじゃが、それでも貴重な遺跡が保存されるのは
嬉しいかぎりじゃ。
他の自治体も見習って欲しいのう。

それではまた、どこかの現地説明会でお会いしましょう!



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